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殉教 じゅんきょうmartyrium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

殉教
じゅんきょう
martyrium

一般には,宗教上の信仰のゆえに迫害を受けて死ぬこと。広く主義のために死ぬ場合にも用いる。キリスト教会,特にカトリックではこれに明瞭な意味を与え重視する。キリスト教では,殉教者の原語 martyrはもともとあかしを立てる人の意で,イエスの生涯と復活の証人として使徒たちをさしたが,その後2世紀なかば頃から自己の信仰を真理として宣明し,迫害に対し信仰を死守した者の呼称に転化。4世紀初めに信仰の自由を得るまで,古代教会はおびただしい教者を出した。特にディオクレチアヌス帝の迫害下においてその数が多い。日本において 16~17世紀のキリシタンの歴史は信徒の殉教の血に染まっている。カトリックでは厳密には信仰ないし一つの徳のために生命を失った者で教会から殉教者と認められたものをさした。古代教会では殉教者に厚い尊敬が払われ,その命日には殉教者の名,殉教の時と場所,受難物語などが公に読上げられ,記念ミサが行われた。殉教者の墓上に礼拝堂や聖堂を建て,そこでミサを行う慣習があり,その祝日の典礼色は赤 (血の象徴) 。殉教者は普通聖人に列せられる。プロテスタントでは殉教者を教会で公認する規定はない。殉教に関する文献には,初代教会の各殉教者の生涯を記した殉教者殉難録,プロテスタント迫害史の殉教者伝があり,殉教者一覧記録としてはローマ教会殉教暦 (354) ,カルタゴ殉教暦 (505) ,ヒエロニムス殉教録 (5世紀中頃) がある。

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デジタル大辞泉の解説

じゅん‐きょう〔‐ケウ〕【殉教】

[名](スル)自らの信仰のために生命をささげること。「殉教者」

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百科事典マイペディアの解説

殉教【じゅんきょう】

一般に宗教上の信仰のために迫害を受け命を捨てること。キリスト教,とくにカトリック教会では,迫害時代に信仰を守って落命した信徒を殉教者martyrとして崇敬する。
→関連項目サン・フェリペ号事件

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅんきょう【殉教】

宗教上の信仰を貫き,そのために迫害されて死ぬこと。主としてキリスト教やイスラムのような一神教の世界で発生し,重要視された。仏教文化圏では,大衆の苦難をわが身に引きうける受苦(菩薩行)の思想が生みだされたが,死の強制を引きうける殉教という考え方は育たなかった。キリスト教のなかでも殉教martyrdomをすぐれた徳行としたのはカトリック教会であり,とくにキリスト教徒迫害の時代に信仰を守るために死を選んだ者を殉教者martyrとしてたたえた。

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大辞林 第三版の解説

じゅんきょう【殉教】

( 名 ) スル
信仰する宗教のために自分の命を捨てること。 「 -者」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

殉教
じゅんきょう
martyrdom

一般には、信仰のために苦難を受け命を捧(ささ)げることをいう。とくにキリスト教で、迫害の時代に、自己の信仰のために苦難を受け、命を捨てた人々を殉教者といい、その死を殉教という。殉教者はギリシア語で本来「証人」を意味し、イエスの生涯とその復活の証人である使徒をさすことばであったが、2世紀以降、迫害が激化するにつれて、意味の転化がおこった。テルトゥリアヌスが「キリスト教徒の血は種子である」といっているように、殉教者は教会発展の礎(いしずえ)として非常に尊敬され、信仰を告白して苦難を受けたが殺されはしなかった証聖者と区別された。石で殺されたステパノが最初の殉教者とされる(使徒行伝)。パウロやペテロ、イグナティオス、ユスティノスなど多くの殉教者が知られている。
 2世紀後半の『ポリュカルポス殉教記』では、殉教者の遺物を尊び、死の記念日を祝っており、やがて殉教者は聖人として崇敬されるに至った。記念日にはミサがあげられ、神にとりなしをする者として、殉教者の功徳は信徒の救いに有効とされ、4世紀以降、墓所の上に教会が建てられた。そして、殉教録という殉教者その他の聖人を年間の記念日の順に配列した名簿がつくられ、聖務日課のときに朗読された。なお中世以降も、キリスト教の宣教に伴って、ヨーロッパの内外で信仰のために多くの血が流された。日本においても、キリシタンの迫害は激しく、とくに長崎で殉教した「日本二十六聖人」は有名である。[木寺廉太]

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