パクダカッチャーヤナ(その他表記)Pakudha Kaccāyana

改訂新版 世界大百科事典 「パクダカッチャーヤナ」の意味・わかりやすい解説

パクダ・カッチャーヤナ
Pakudha Kaccāyana

古代インド自由思想家(仏教側からいう〈六師外道〉)の一人。生没年不詳。釈迦と同時代の前6~前5世紀に活躍した。漢訳仏典では婆浮陀伽旃那と音訳される。彼は不生不滅にして不変の七要素(地・水・火・風の四元素と苦・楽・生命)のみを実在とし,個別の霊魂を認めなかった。彼によれば,剣をもって頭を切断しても人の〈生命〉を奪うことにはならない。〈剣による裂け目はただ七つの要素の間隙に生ずるにすぎない〉(《沙門果経》)からである。このように彼は唯物論もとに道徳否定論を説いた。
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百科事典マイペディア 「パクダカッチャーヤナ」の意味・わかりやすい解説

パクダ・カッチャーヤナ

前6―前5世紀のインドの自由思想家六師外道)の一人。地水火風と苦・楽・生命の7要素のみの実在をいう唯物論を説いた。
→関連項目自由思想家

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パクダカッチャーヤナ」の意味・わかりやすい解説

パクダ・カッチャーヤナ
Pakudha Kaccāyana

前6~5世紀頃のインドの思想家。原始仏教経典のなかで紹介されている六師外道の一人。人間は7つの集合要素 (地,水,火,風,苦,楽,生命) から構成されており,これらの7要素は不変であり,生命を奪うということはありえないとした。だから彼は人を殺してもその人の生命を奪ったことにはならないと考えた。

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世界大百科事典(旧版)内のパクダカッチャーヤナの言及

【辞書】より

…単語を,ある基準にそって整理配列して,その表記法,発音,品詞名,語源,意味,用例,用法などをしるした書。ただし実際にはこのすべてを集成していないものがあり,また百科事典のように,単語の意味よりもむしろ事柄の内容を主としたものや,索引のように,たんに用例を示すだけのものをも含めていう場合もある。辞典,字書,字典,字引などともいう。
[種類]
 (1)分類配列の基準によって,(a)文字(ローマ字,漢字,仮名など)を基にして,それから発音や意味などを知りうるようにしたもの,(b)発音を基にして,それから文字や意味などを知りうるようにしたもの,(c)意味によって分類して,それから文字や発音などを知りうるようにしたもの,に大別できる。…

【分類】より

…ローマ時代の大プリニウスの《博物誌》は天,地,人にわたっての総括の試みである。インドでは天,地,人を区別せず,パクダ・カッチャーヤナのように地,水,火,風,苦,楽,魂を要素とするような哲学をつくったが,これらは構成要素であって分類とはいえず,普遍者を重んじるインドでは一般に博物学は発達しなかった。中国では,《書経》で五行,五事,八政,五紀,三徳,五福,六極など〈九疇(ちゆう)〉と呼ばれるカテゴリーが展開され,《易経》では陰と陽にもとづく体系がつくられたが,いずれも事物の性質やふるまいを規定するものと考えられ,事物を分類する枠組みとはいいがたい。…

※「パクダカッチャーヤナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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