闘牛場の行進曲として発達した音楽。あまり速すぎないが快調な2拍子のリズムをもち,旋律は情熱的で明るく,ときに哀愁も感じさせる。節回しや和声の進行にスペインの民族色があるのも特色。ふつう闘牛用の吹奏楽団(バンダ・タウリーナbanda taurina)によって演奏されるが,鑑賞用あるいはダンス用として管弦楽団,ポピュラーな編成による楽団などのために編曲されることも多い。歴史は判然としないが盛んになったのは19世紀後半からで,たとえばバルビエリFrancisco Asenjo Barbieriのサルスエラ(民族的オペレッタ)《パンと闘牛Pan y Toros》(1864)の中に1曲のパソドブレが聞かれる。よく演奏される名曲としては,パスクアル・マルキーナ作曲《エスパーニャ・カニーEspaña Cañí(ジプシーのスペイン)》,サンチアゴ・ロペ作曲《ガリートGallito》,クレト・サバラ作曲《ビバ・エル・ルンボ! Viva el Rumbo!》などが挙げられる。
執筆者:浜田 滋郎
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…ブラジルの〈サンバ〉は1923,24年ころパリに紹介され,29年ころにはニューヨークでも踊り始められた。闘牛場での行進曲として名高い〈パソドブレ〉は,スペインをはじめ,ヨーロッパのラテン系諸国,中南米諸国で踊られ,第2次大戦後,イギリスでも踊られた。ペレス・プラードが編曲し発表した〈マンボ〉は1940年代末から流行し,50年代には〈チャチャチャ〉が世界的に歓迎された。…
※「パソドブレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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