八分(読み)はっぷん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

八分
はっぷん

漢字の書体の一つ。秦代にできた隷書が,漢代には標準的なものとして使われるようになり,その隷書のうち,前漢の後半期に起ったもので,線が波形で筆端をはねる「波磔 (はたく) 」をもつ書体を八分という。名称の由来については,「八」字のように左右均整のとれた字形であるからとする「八字分背説」のほか,秦隷の八分を去り,小篆の八部をとったからとする説,古意八分に新意二分が加わったとする説など諸説がある。また伝説では王次中あるいは蔡 邕がつくったとされるが,実際は一人の手に成るものではない。隷書と八分を同義に使うこともある。漢隷とも呼ばれる。

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デジタル大辞泉の解説

はち‐ぶ【八分】

[名](スル)
一分(いちぶ)の8倍。
㋐10分の8。8割。8分目。「書類に八分どおり目を通す」
㋑100分の8。
仲間はずれにすること。
「今日は―したゆえ」〈二葉亭浮雲

はっ‐ぷん【八分】

漢字の書体の一。隷書(れいしょ)の一種で、横画の終筆を右にはね上げるのが特徴。八分書。漢隷。→隷書

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百科事典マイペディアの解説

八分【はちぶ】

村八分

八分【はっぷん】

漢字の書体の一つ。隷書における動勢を表す装飾的な筆法を美化して様式を整えたもの。前漢末から行われ,後漢になると,碑碣(ひけつ)に銘刻する代表的な書体として流行した。
→関連項目王時敏

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世界大百科事典 第2版の解説

はっぷん【八分 bā fēn】

漢字の書体の一種。後漢の蔡邕(さいよう),あるいは王次仲の作と伝えられる。その本義については,古意八分新意二分とする説,八の字のように互いに背(そむ)く形,あるいは分かれる形をとるからとする説,その他異説がある。今日一般には,前漢の前期(前2世紀ころ)に行われていた直線的な隷書を古隷とよぶのに対し,前1世紀ころからみられる新しい隷書,すなわち運筆律動を利用して起筆打ち込みと収筆の波磔(はたく)(右へのはね)を特色とするものを指していうことが多い。

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大辞林 第三版の解説

はちぶ【八分】

全体の八割。十割にやや満たない程度。 「 -通り読んだ」 「腹-」
仲間から除外すること。のけものにすること。 「 茶番の役不足をいうて-されたるくやしみ/滑稽本・客者評判記」 → 村八分

はっぷん【八分】

漢字の古書体の一。横画に波磔はたくのついた隷書。隷書のうち、秦隷しんれいよりも楷書に近い書体。漢代に作られた。八分体。八分書。漢隷。 → 隷書

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精選版 日本国語大辞典の解説

はち‐ぶ【八分】

〘名〙
① 一分(いちぶ)の八倍。
② 十分の八。八分通り。八分目。八分ほど。八分くらい。転じて控え目にすること。
※浄瑠璃・鎌田兵衛名所盃(1711頃)上「みかた八分のまけ軍」
③ 江戸時代、一時(ひととき)を八分目過ぎた頃に、次の時報の鐘をならすこと。また、その鐘の音。
※洒落本・一目土堤(1788)「ゑかうゐんの八分を聞てかへろふと思ったらものほしでねこがなきやす」
④ 播磨(兵庫県)の杉原で原産した杉原紙の一種。
⑤ 賭博(とばく)の一種。賽(さい)を壺の中に伏せて行なう博打(ばくち)
雑俳・柳多留‐六(1771)「八分だぞ根こそぎはれともんで入れ」
⑥ (「━(を)する」の形で用いる) 仲間はずれにすること。のけものにすること。→村八分
※雑俳・川柳評万句合‐明和四(1767)桜六「こし越へ来て人々ははちぶされ」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「何時もならば文三にもと言ふ所を今日は八分(はちブ)したゆゑ、お鍋が不審に思ひ」

はち‐ぶん【八分】

〘名〙
① 八分の一。八等分。
※今昔(1120頃か)三「汝、我等が為に仏の舎利を分たむ事、等くして八分に可成しと」
② 十分の八。
曾我物語(南北朝頃)八「その盃を十郎にさす。酒を八ぶんにうけて、思ひけるは」

はっ‐ぷん【八分】

〘名〙 漢字の書体の名。隷書の一種。中国漢代に蔡邕が、または秦代に王次仲がつくり出したという。その書体が八の字が分散しているようであるところから名づけられたとも、また篆書(てんしょ)二分と隷書八分とのまじった書体であるので名づけられたともいう。八分字(はふじ)。八分書。八分体。
※性霊集‐四(835頃)進真行草等筆表「自外、八分小書之様、蹋書臨書之式、雖未見作、得具足口授耳」

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世界大百科事典内の八分の言及

【村八分】より

…より一般的には,村落社会で執行されてきた制裁の総称。〈村八分〉とは,家々の重要な交際の機会10種類のうち,火事と葬式をのぞく8種類の交際を絶つことからいうのだとする俗説が広く流布しているが,根拠はない。ハチブはハブクとかハズスという言葉と関連するものと思われる。…

※「八分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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