改訂新版 世界大百科事典 「パトリーツィ」の意味・わかりやすい解説
パトリーツィ
Francesco Patrizi
生没年:1529-97
ルネサンス・イタリアのプラトン主義哲学者。ダルマティアに生まれ,パドバ大学で医学,さらに哲学・文学を学ぶ。ベネチア海軍に従軍し,キプロス島の司政官となったが,1578年以後はフェラーラ大学で,92年以後は教皇に招かれてローマで,哲学を教授した。歴史・修辞学・哲学などについて多くの著述を残した。《修辞学論》(1562),《詩学論》(1582)は,当時の文学論の焦点となっていたアリストテレス詩学を論じ,そのミメーシス論をプラトン的な美のイデア論によって反駁し,有名となった。主著《新世界哲学》(1591)は,汎生命論的世界観を説く〈光の形而上学〉で,《愛の哲学》(執筆1577)とともにフィチーノの哲学を継承発展させた,ルネサンスの典型的世界観である汎心論を代表する作品である。
執筆者:清水 純一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報