改訂新版 世界大百科事典 「パリシー」の意味・わかりやすい解説
パリシー
Bernard Palissy
生没年:1510ころ-90ころ
フランス・ルネサンスの陶芸家。焼絵ガラスの見習職人として各地を遍歴修業ののち,1539年西南フランスのサントに工房を開き,48年に独自の陶器を完成。〈田園風陶器rustic wares〉と呼ばれるその作風は,実際の爬虫類,魚類,甲殻類や木の葉,雑草,海藻などから型をとるもので,青,緑,黄,紫,白それぞれの微妙な色調を再現することに成功した。摂政カトリーヌ・ド・メディシスらにその才を認められ,66年ころパリに招かれてチュイルリー宮殿に工房を構え多数の名作を完成した。さらに地質学その他について一連の学術講演を行い,古代文化の盲信に対する観察と実験の優位を身をもって示した。庇護者に先立たれた彼は87年ころ異端として投獄され,バスティーユで獄死した。《確実な道》(1563)と《森羅万象》(1580)の2著は感動的な自伝的記録として知られる。
執筆者:二宮 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報