パルプ工業廃水(読み)パルプこうぎょうはいすい(その他表記)pulp mill sewage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パルプ工業廃水」の意味・わかりやすい解説

パルプ工業廃水
パルプこうぎょうはいすい
pulp mill sewage

製紙パルプ工場から排出される廃水。製紙の工程で,原木をパルプにするには,機械的に木材を砕く方法と,木材チップを薬液とともに蒸煮する化学的方法とがあるが,特に薬品使用の場合は,廃水のなかにリグニン糖類などの有機物や薬液を多く含み,悪臭が強く,黒または茶色で泡立ちがひどく,生物化学的酸素要求量 BODも高い。しかも排水量が大きく,かつては有効な処理法がなかったため,海や川へたれ流しされた場合は,湾口をふさぎ漁場を荒す公害となった。 1970年パルプ工業廃水がへどろ化して,静岡県田子ノ浦港に堆積した環境汚染が大きな問題となった。現在では処理技術が向上し,悪臭などの公害要素は格段に改善された。

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