改訂新版 世界大百科事典 「ヒメヤスデ」の意味・わかりやすい解説
ヒメヤスデ
倍脚綱ヒメヤスデ目Juliformiaに属する節足動物の総称。全体はまるいひも状で頭部の前面はまるく,胴断面も円形で歩肢が短く,土壌中に潜入するのに適した体形をしている。胴節は30個以上。世界中に2000種以上が分布し,ヤスデ類の中でもっとも大型のフトヤスデ類(体長30cmを超えるものがある)を含むが,日本産の種類は1~6cmのものが大部分である。変態は脱皮ごとに体節数の増える増節変態で,成熟するのに3年ぐらいかかる。典型的な土壌性ヤスデで森林土壌中に生息するが,洞穴にはコウモリの糞などの有機物を食物とする白化した真洞穴性の種類もある。日本全国にふつうに見られるフジヤスデのほか,山地で腐木に多いクロヒメヤスデなどがある。熱帯地方で体長10cm以上で,俗に〈万年筆〉と呼ばれる数種もヒメヤスデ類に属している。
執筆者:篠原 圭三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報