ビオネ(読み)びおね(その他表記)Madelene Vionnet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビオネ」の意味・わかりやすい解説

ビオネ
びおね
Madelene Vionnet
(1876―1975)

フランスの服飾デザイナー。通常、ヴィオネと表記されている。11歳からお針子として働き、1900年から当時パリの有名店キャロ姉妹店で働く。その後ドゥーセ店(当時パリの有名店)を経て、12年自分の店を開店したが、19年以降本格的活動を始める。20年代は社会が大きく変わり、女性服装旧弊コルセットを捨てた、新しい現代の服が確立しようとしていた。ビオネは身体という立体を、独自の目でとらえ、古代ギリシアや日本の着物に新しい服の原理をみいだしながら、未来派など芸術活動の影響を受け、従来の服の構成をまったく新しい方法で組立て直したバイアスカットを開発した。小さな木製人形の上に布をかけドレープをつくり、裁断し、身体へのフィット性とバランスを研究し、「モード界のユークリッド」といわれた。着るまではうなだれた布にすぎないように見える彼女の服は、いったん着られると流れるようなドレープやうねるようなフリルがダイナミックに身体を際だたせた。服作りの技術面における可能性を大きく広げたビオネが、現代まで多くのデザイナーに与えた影響は計り知れない。39年引退。

深井晃子

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ビオネ」の意味・わかりやすい解説

ビオネ

フランスの服飾デザイナー。キャロ姉妹店で働き1912年パリに自分の店を開く。日本の着物や浮世絵から影響を受けたビオネは,それまで女性の体をしばっていたコルセットを放棄した。また平面的な裁断から,立体的な人体にあわせ布地ドレーピングで構成した,流れるような線で完全に体にフィットするバイアス・カットを考えだして,20世紀のファッションに大きく貢献した。

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