化学辞典 第2版 「ビキシン」の解説
ビキシン
ビキシン
bixin
C25H30O4(394.52).カロテノイドの一つ.ベニノキBixa orellanaの種子や葉に含まれる.天然のものは,構造式中16位の*印を付した二重結合1個がシス形配置をとり,不安定型ビキシンともよばれる.ベニノキの種子を水で処理して色素を含む部分を分離し,エタノールで抽出,アンモニウム塩を経て精製する.紫色の柱状結晶.融点198 ℃.λmax 523.5,489,457 nm(二硫化炭素).ピリジン,クロロホルム,酢酸に可溶.不安定型ビキシンをヨウ素で異性化すると,全トランス形のイソビキシン(紫赤色の板状結晶.融点216~217 ℃.λmax 526.5,491,457 nm(二硫化炭素))にかわる.アセトン,クロロホルムに可溶,水に不溶.酸化,還元には安定である.ビキシンは油脂や食品の着色に用いられる.[CAS 6983-79-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報