ビターリ(その他表記)Giovanni Battista Vitali

改訂新版 世界大百科事典 「ビターリ」の意味・わかりやすい解説

ビターリ
Giovanni Battista Vitali
生没年:1632-92

イタリアバイオリン奏者,作曲家。生地ボローニャのサン・ペトローニオ教会の歌手およびビオロンチーノ(チェロの初期の形)奏者となり,楽長カッツァーティに学ぶ。のちサンティッシモ・ロザリオ教会の楽長を務めた。1674年以降はモデナ宮廷で活動した。様式化したフランス風舞曲(ブレメヌエットなど)を室内ソナタに最初に取り入れた一人であり,とくにトリオ・ソナタの発展に貢献した。《音楽の技法》(1689)は器楽的対位法の種々の試みを示した教育的作品で,J.S.バッハの《音楽の捧げもの》の先駆をなすものである。息子のトンマーゾ・アントニオTommaso Antonio V.(1663-1745)もバイオリン奏者,作曲家であったが,彼の作とされてきた有名な《シャコンヌ》は彼の作ではない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビターリ」の意味・わかりやすい解説

ビターリ(父子)
びたーり

父ジョバンニGiovanni Battista Vitali(1632―92)、子トンマーゾTommaso Vitali(1663―1745) ともにイタリア・バロック期の作曲家、バイオリン奏者。父ジョバンニは1632年2月18日ボローニャに生まれ、聖ペトローニオ大聖堂の楽長カッツァーティに師事し、67年に同聖堂のビオラ奏者となる。74年、モデナのエステ大公の宮廷楽団の第二楽長を経て、84年第一楽長となる。コレッリ以前のボローニャ楽派の1人として、バロックのトリオ・ソナタの歴史に先駆的な役割を果たし、92年10月12日モデナで世を去った。息子のトンマーゾもボローニャ生まれ。父とともにモデナのエステ大公の宮廷楽団で活躍、1745年5月9日同地で没した。バイオリンと通奏低音のための『シャコンヌ』の作者として知られるが、近年の研究では、彼の作であるかは疑問視されている。

樋口隆一

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