17~18世紀に愛好された,ゆっくりしたテンポの変奏形式による舞曲。原則として3拍子をとり,4小節ないし8小節の低音進行または一定の和声進行に支えられて,たえまなく変奏を続けていく。同時代に流行したパッサカリアもこれと類似した楽曲だが,パッサカリアでは主題ともいうべき低音進行がいっそう明白であり,しかもその旋律が上声に現れることもある。しかし両者には本質的な相違はない。シャコンヌは中南米起源の舞曲と考えられているが,17世紀初頭にスペインに入り,やがてイタリア,フランス,ドイツ,イギリスに伝えられた。シャコンヌのみ独立して作曲されることもあるが,全盛期には組曲の中に取り入れられたりもした。代表的な作品にはバッハの《無伴奏バイオリン・パルティータ第2番》(1720)の終曲がある。シャコンヌは20世紀に入っても作曲家の関心を誘い,バルトーク(《無伴奏バイオリン・ソナタ》作品117,1944)やクルシェネク(《トッカータとシャコンヌ》作品13,1922)らが作品を残している。
執筆者:高野 紀子
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17、18世紀に流行したやや緩やかな3拍子の器楽曲。通常、低声部が一定の旋律(とくに主音から属音への4度下行)もしくは一定の和音進行を終始反復する一種のオスティナート変奏曲の形をとる。リフレインの歌詞にチャコーナchaconaの語がかならず含まれた中南米の舞曲がスペインに渡来し、イタリア、ドイツで器楽曲として発展した。最初は長調の曲が多く、短調のパッサカリアとは区別されており、ギター、カスタネット、タンバリンで伴奏された。17世紀中ごろのイタリアでは、声楽シャコンヌもみられる(モンテベルディ、フレスコバルディ)。フランスに入ると、テンポが遅くなりフランス特有のロンドー形式と結び付き(リュリ、クープラン)、18世紀前半にドイツでその黄金時代を迎える(ブクステフーデ、バッハ)。その後はほとんど例がない。
[関根敏子]
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…16~17世紀のスペイン舞踊の代表的なものとしてはアルタalta,バハ・ダンサbaja danza,カナリオcanario,チャコーナchacona,エスパニョレータespañoleta,フォリーアfolía,サラバンダzarabanda等が知られ,ほかにも舞踊の形式はきわめて多い。以上のうちチャコーナはシャコンヌ,サラバンダはサラバンドとしてヨーロッパ各地に広まり,やがて器楽曲の重要な形式として定着したものである。また,スペインの新大陸進出に伴って,新大陸にも伝えられた。…
…シャコンヌとともにバロック時代に特有な変奏曲形式として知られるもので,多くは荘重な3拍子である。何より特徴的なのは,たいていの場合4小節とか8小節の短い旋律が何度となくバスで繰り返され,繰り返されるごとに上声部が別の旋律となって和声を重ねていくという形の変奏曲であることである。…
…ふつう変奏曲と呼ばれるのはこの型である。後者は,短い旋律断片あるいは和声的骨格が絶えまなく反復されていく中を他の諸要素が変奏されていくもので,シャコンヌやパッサカリアがこれに属する。旋律は多くの場合低音部で固執低音(バッソ・オスティナート)として反復されるが,上声部に移ることもある。…
※「シャコンヌ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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