日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビュルヌフ」の意味・わかりやすい解説
ビュルヌフ
びゅるぬふ
Eugène Burnouf
(1801―1852)
フランスの近代インド学・仏教学の創始者。若くよりアジアの諸言語に通じ、32歳でコレージュ・ド・フランスのサンスクリット語教授となる。イギリスのホジソンBrian Houghton Hodgson(1800―1894)がネパールで採集した多数のサンスクリット語仏典写本を解明・研究して、ビュルヌフが著した『インド仏教史序説』Introduction à l'Histoire du Bouddhisme Indien(1844)は現在もその価値を失わない。また『法華経(ほけきょう)』のフランス語訳も発表した。さらに友人ラッセンChristian Lassen(1800―1876)とともに著した『パーリ語に関する試論』Essai sur le Pāli(1826)はヨーロッパにおけるパーリ語学の基礎を築いた。当時ヨーロッパで偏見をもってみられていた仏教思想を厳密な文献学的方法を用いて客観的に研究・理解することに努め、西欧の近代東洋学研究確立者の一人となった。
[加藤純章 2018年7月20日]