改訂新版 世界大百科事典 「ピュイゼギュール」の意味・わかりやすい解説
ピュイゼギュール
Amand-Marie-Jaques de Chastenet, marquis de Puységur
生没年:1751-1825
F.A.メスマーによって創唱された動物磁気説に基づく病気治療を継承・発展させたフランスの貴族(侯爵)。屈指の名門の出で,軍人として活動するかたわら,居城のあったソアソン近郊のビュザンシーで行った治療は多くの患者を集め,とりわけ“磁化された”ニレの木を用いた集団治療や,患者の一人ラースVictor Raceを使ったパリでの公開実験は大評判となった。また軍務でおもむいたストラスブールに設立した〈盟友調和協会〉や,《動物磁気の確立と歴史のための覚書》(1784)などの著作を通じて磁気治療術の普及に努め,力動精神医学史上メスマーに劣らない特異な地位を占める。その治療は,現在では催眠による一種の精神療法と考えられている。なお,彼の2人の弟もメスマーの信奉者,治療家として著名。
執筆者:宮本 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報