ピョンアンナム道(読み)ピョンアンナム(英語表記)P'yǒngan nam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピョンアンナム道」の意味・わかりやすい解説

ピョンアンナム(平安南)〔道〕
ピョンアンナム
P'yǒngan nam

北朝鮮の西部にある1級行政区。道庁所在地はピョンソン (平城) 市。行政区域は2市 21郡。東部はランリム (狼林) 山脈,ミョヒャン (妙香) 山脈などの山地であるが,西部は準平原と丘陵で,大部分がテドン (大同) 江の流域である。北部を流れるチョンチョン (清川) 江の下流にはアンジュ (安州) 平野がある。ピョンヤン (平壌) を含んでいたが,1972年特別市となって分離。他道より耕地面積が広く,灌漑用水も整備されているので主食物の生産は多い。アンジュ平野はピョンナム (平南) 灌漑区の建設によって重要な稲作地となり,テドン江の西方にも 10万 haに上るキヤン (岐陽) 灌漑区が形成された。カンソ (江西) 郡のチョンサン (青山) 里は北朝鮮における農業の模範として知られている。ソンチョン (成川) 郡のクリ,ナンポ (南浦) 市一帯のリンゴも有名。ミョヒャン山脈は無煙炭が豊富で,スンチョン (順川) ,ケチョン (价川) ,プクチャン (北倉) ,トクチョン (徳川) などの郡に炭鉱があり,ほかに鉄,非鉄金属の鉱山もある。テドン江下流一帯は北朝鮮屈指の大工業地帯で,カンソ郡カンソン (降仙) の鉄鋼,ナンポ市の精錬造船などのほか,機械,自動車,肥料セメント,ガラス,繊維などの大工場がある。海岸には塩田があり,特にクアンリャン (広梁) 湾岸天日製塩が盛んである。高句麗の栄えた地で,貝塚古墳が多い。東部山間のヤンドク (陽徳) 温泉は労働者の保養地として有名である。面積1万 2200km2。人口 265万 3000 (1987推計) 。

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