改訂新版 世界大百科事典 「ピンデモンテ」の意味・わかりやすい解説
ピンデモンテ
Ippolito Pindemonte
生没年:1753-1823
イタリアの詩人。ベローナの高貴な家庭に生まれ,1778-96年ヨーロッパ各地を旅行。ロマン主義の先駆けとなる田園詩,抒情詩で注目された。フランス革命の最中のパリで書いた《フランス》(1789)では,この革命に強く共鳴する心情を吐露したが,ジャコバン派の恐怖政治に幻滅し,帰国後はギリシア古典の翻訳に専念した。なかでも《オデュッセイア》の散文訳は,名訳とされている。なお,兄ジョバンニGiovanni P.(1751-1812)も詩人,劇作家として知られ,フランス革命に身を投じるほどの熱血漢でもあった。とくに《バッコスの祭》などの悲劇は,上演のたびに爆発的な好評を得,スタール夫人やスタンダールからも賞揚されたが,今日ではほとんど話題に上ることはなくなっている。
執筆者:室田 宣一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報