翻訳|Falstaff
ベルディ作曲のオペラ。全三幕。1893年完成。同年ミラノ・スカラ座初演。シェークスピアの『ヘンリー4世』と『ウィンザーの陽気な女房たち』から素材をとり、アリゴ・ボイトが台本をまとめた。シェークスピアの創造した放蕩(ほうとう)で大酒飲みの老騎士フォルスタッフとウィンザーの町の人々の愉快な人間関係を軽妙に描く。老騎士は2人の女性に恋文を送るが、手紙を受け取ったフォード夫人とページ夫人は二通が同文なのを知り、機知を働かせてファルスタッフを懲らしめる。その合間にはフォードの娘ナネッタと青年紳士フェントンの恋物語もあり、最後はファルスタッフが降参し、ナネッタの恋も成就してめでたく幕となる。ベルディ最後のオペラであるこの作品は、文字どおり彼の創作の頂点を示しており、とくに生気あふれる人物描写のみごとさは比類ない。日本初演(演奏会形式)は1951年(昭和26)。なお『ウィンザーの陽気な女房たち』は、ドイツの作曲家ニコライがこれに先だってオペラ化(1849・ベルリン初演)している。
[三宅幸夫]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...