改訂新版 世界大百科事典 「ファンヘント」の意味・わかりやすい解説
ファン・ヘント
Joos van Gent
15世紀ごろのフランドルの画家。生没年不詳。ヘント出身のためこう呼ばれたが,本名はヨース・ファン・ワッセンホーフェJoos van Wassenhove。1460年アントウェルペン(アントワープ),64年ヘントで,それぞれ自由親方として登録。初期の代表作《十字架の磔刑の祭壇画》(ヘント,シント・バーフ大聖堂)では,バウツやファン・デル・フースの影響を示すものの,群衆と風景の融合,細身で少しそり曲がったポーズの身体,複雑な衣文の襞,微妙なニュアンスに富んだ色調などで自己の様式を確立。ファン・デル・フースに前借りし,イタリアに赴く。73-75年ウルビノ公フェデリコ・ダ・モンテフェルトロに仕え,彼の書斎を教父,詩人,哲学者の肖像画で装飾し,その作品群によりイタリアとネーデルラントの美術の橋渡し役を果たした。
執筆者:森 洋子
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