日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィビゲル」の意味・わかりやすい解説
フィビゲル
ふぃびげる
Johannes Andreas Grib Fibiger
(1867―1928)
デンマークの病理学者。シルケボーに生まれる。1900年コペンハーゲン大学病理学教授となり、1907年ラットの胃に顎口虫(がっこうちゅう)科の寄生虫Gongylonema neoplasticumを含む腫瘍(しゅよう)を発見し、感染経路を追究した結果、ゴキブリを中間宿主とする寄生虫によることが判明した。そこで彼はゴキブリを健康なラットに食べさせる実験を繰り返して、胃の中に同様な腫瘍の発育を促すことに成功し、1913年にその結果を発表した。ウィルヒョウの癌(がん)発生刺激説を実験的に証明したこととなり、1926年ノーベル医学生理学賞が授与された。後年、彼の業績はいろいろな批判を受けたが、各国で人工癌の研究が進められる端緒となった事実は否定できない。
[古川 明]