ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
フィリップ・フォン・ヘッセン
Philipp von Hessen, der Grossmütige
[没]1567.3.31. カッセル
ドイツ,宗教改革時代のプロテスタント諸侯の一人。「度量侯」 der Grossmütigeとも呼ばれる。ヘッセン方伯。領邦主権の確立に努め,封建的貴族の勢力を押さえるために市民層を政治顧問に起用。宗教改革が起こるとザクセン選帝侯と並ぶルター派諸侯の指導者となり,1522年の騎士戦争の鎮圧に軍功をあげ,農民戦争においても一揆鎮定の立役者であった。一方,皇帝を中心とするカトリック勢力に対抗すべくプロテスタント諸侯を糾合してシュマルカルデン同盟を結成 (1531) したが,1547年ミュールベルクの戦いで敗れ皇帝側の捕虜となった。解放されて帰還後も,ヘッセン領内のプロテスタント化と内政充実に努めた。 1527年にはマールブルクに最初のプロテスタント大学を設立し,また 1529年には M.ルターと H.ツウィングリとの和解を斡旋している。内政面では一種の啓蒙的専制政治を実施し,農民戦争後の農民に対しても,再洗礼派に対しても宥和政策をとった。
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