日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェストデイク」の意味・わかりやすい解説
フェストデイク
ふぇすとでいく
Simon Vestdijk
(1898―1971)
オランダの小説家、詩人。初め船医としてインドネシアへ行き、のち文学に専念。詩集『色チョークで書いた童話』(1938)、短編『死の発見』(1935)は哲学的、心理学的な作品。小説は、自叙伝的色彩の濃い潜在意識を扱った心理小説と、ある人物に焦点をあわせた歴史小説とに分類され、前者に『追想のイナ・ダマン』(1934)、『愛の杯』(1957)、後者に16世紀後半のスペインを舞台にエル・グレコの生涯を描いた『第五の封印』(1937)、ジャマイカにおける奴隷貿易を扱った『ラム島』(1940)がある。第二次世界大戦中・戦後オランダ文学の第一人者。ホーフト文学賞受賞(1951)。死後、オランダ・ベルギー文学大賞を受賞(1971)。
[近藤紀子]