パキスタン最北端の山岳地方名。カシミールのうち同国管理地帯にある。カラコルム山脈北西端に属するバトゥーラ山群とヒスパー山群が西と東に走り,その間をフンザ川が流れる。同川の狭長な河谷平野はアンズの産地として知られ,そのほか小麦,桃,リンゴなどを産する。中国との国境には東にクルジェーラブ峠,西にミンタカ峠があり,古くから東トルキスタンとインド亜大陸とを結ぶ重要な交通路であった。中国のカシュガルに至るカラコルム・ハイウェー(1978完成)はクルジェーラブ峠を通っている。住民はイスマーイール派イスラム教徒で,ブルシャスキー語を用い,長寿者の多いことで知られる。ミールとよばれる首長が内政にあたっている。5世紀初めには法顕が,また20世紀初めに大谷探検隊がこの地方を通過した。
執筆者:応地 利明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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