改訂新版 世界大百科事典 「ブルシャスキー語」の意味・わかりやすい解説
ブルシャスキー語 (ブルシャスキーご)
Burushaski
パキスタン領アザード・カシミールのフンザ地区,ナギル地区,その西方ヤシンYasin地区に住むブルショBurusho人の固有の言語。話し手は2万~4万人。隣接の民族からはカジュナ語Khajuna,クンジュティ語Kunjutiとも呼ばれる。インド・アーリヤ系,イラン系,チュルク系,チベット系の諸言語に取り囲まれて,その影響を受けてきたと考えられるが,文字がなく,歴史的変遷の過程は明らかでない。カフカス諸語,バスク語などとの比較も試みられたが,他の諸言語との系統関係は不明で孤立的地位に立つ。構造的特徴としては,名詞に(1)男性(人間),(2)女性(人間),(3)生物(人間を除く)と無生物の一部,(4)その他の無生物,の4文法範疇の区別があり,文法構造を支配する点が特に注目される。
執筆者:北村 甫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報