ブバスティス(その他表記)Bubastis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブバスティス」の意味・わかりやすい解説

ブバスティス
Bubastis

エジプトのナイルデルタ地帯の南東部ザガジグ市の近くにあった古代都市。現テルバスタ。下エジプトの第 18ノモスの都で,第 22王朝時代にテーベから遷都され,シェションク1世 (在位前 935頃~914頃) の治世下,繁栄の頂点に達した。地名は「バスト女神の家」の意味で,バスト女神はライオンの頭をもった女神 (のちには雌ネコの形をとった) である。すでに第2王朝の国王によって崇拝されていた。現存する遺跡は広範囲にわたっており,1886~89年に発掘された。発掘により中王国時代から末期王朝時代にいたるバステート神殿が明らかにされ,多くの浮彫が発見された。さらにエジプト考古局は 1943~44年の発掘で第6王朝 (前 2345頃~2181頃) のペピ1世時代の建物の角柱や入口の脇柱を,63~65年には第 12王朝 (前 1991~1786) の煉瓦を使った建物跡や末期王朝時代のネコの共同墓地,貴族の地下墳墓などを発見した。

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世界大百科事典(旧版)内のブバスティスの言及

【スエズ】より

… 古代から地中海と紅海を結ぶ航海ルートの重要性は注目され,ナイル川を経由して二つの海を結ぼうという運河建設の試みは何度も行われ,古代エジプト時代の記録にも残っている。第26王朝(前663‐前525)のネコ2世の時代にはデルタ地帯のナイル川支流に面したブバスティスの町から紅海までの運河建設が計画され,その後アケメネス朝ペルシアのダレイオス1世が完成させ,現在でもその運河跡が残っている。ローマ時代にも改修工事が行われて使用されていたが,やがて土砂の堆積によって荒廃してしまった。…

※「ブバスティス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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