化学辞典 第2版 「ブレオマイシンA2」の解説
ブレオマイシン A2
ブレオマイシンエーツー
bleomycin A2
C55H84N17O21S3(1415.57).放線菌Streptomyces verticillusの培養液から得られる十数種の糖ペプチド系抗生物質中の主成分.一定の融点を示さず,+12.6°(水).λmax 244~248,289~294 nm.水,メタノールに可溶,エタノールに難溶.グラム陽性菌,グラム陰性菌,抗酸性菌およびかびに対して有効であるが,強い抗腫瘍作用をもち,制がん剤として皮膚や頭,頸部の扁平上皮がんや悪性リンパ腫の治療に広く用いられている.生体内で鉄と錯体をつくり,分子状酸素を活性化してDNA鎖切断を起こす.末端アミノの変換により,類似抗生物質フレオマイシン(phleomycin)が化学的に誘導されている.A2 を主成分とするブレオマイシンはLD50 210 mg/kg(マウス,静注),168 mg/kg(ラット,静注).[CAS 11116-31-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報