プロセスシミュレーション(その他表記)process simulation

改訂新版 世界大百科事典 の解説

プロセスシミュレーション
process simulation

化学プロセス挙動コンピューターを使ってシミュレートすること。化学プロセスは反応器,蒸留塔など多くの単位操作装置から構成されるが,これら各要素装置のシミュレーションもふつうプロセスシミュレーションと呼ばれている。定常的挙動と動的挙動のいずれもが対象になるが,大きな複雑なプロセスでは,定常的挙動のシミュレーションがまず問題になる。定常状態のシミュレーションにも操作型と設計型との2種がある。操作型シミュレーションは,装置の各部の構造をすべて指定したうえで,そこに原料を流したらどうなるかを知ろうとするもので,文字どおりのシミュレーションである。これに対し設計型シミュレーションでは,プロセスや装置から出てくる製品の量や純度を指定して,それに合うように装置の各部の大きさや数を決めようとするもので,設計計算である。正確なシミュレーションが必要とされるのは主として設計の段階で,設計型シミュレーションが望ましいわけだが,いつでも設計型シミュレーションが可能とは限らない。これに対し操作型シミュレーションは,原理的にはいつでも可能である。操作型シミュレーションを設計に使うためには,構造やパラメーターを変えてシミュレーションを繰り返し,条件に合致するものを探す。シミュレーションのためには数学モデルが必要である。各単位操作装置の数学モデルがあれば,これをつなぎ合わせてプロセス全体のシミュレーションが可能になる。装置のシミュレーションを行うには,装置の中で進行する素過程,たとえば伝熱拡散,気液平衡などに関する数学モデルが必要である。これらを組み合わせて装置の挙動をシミュレートできるシミュレーターを作り,このシミュレーターを組み合わせてプロセス全体の挙動をシミュレートするプロセスシミュレーターを作ってプロセスシミュレーションを行う。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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