ベクタ画像(読み)ベクタがぞう(英語表記)vector graphics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベクタ画像」の意味・わかりやすい解説

ベクタ画像
ベクタがぞう
vector graphics

数学的な計算に基づき,線の起点終点座標を数値で表すコンピュータ画像形式。オシロスコープ(→オシログラフ)の画面を改良したものが 1960~70年代に初めてコンピュータ画面に使用され,「アステロイド」などの初期のゲームセンターのゲーム機にも使用された。ベクタ画像が採用された背景には,画素ピクセル)で画像を構成するラスタ画像ビットマップ画像)は描画メモリがきわめて高価だったことがあった。しかし 1980年代以降は画像処理能力の向上に伴い,写真など複雑な表現に適したラスタ画像に取って代わられた。その後,直線曲線,形,色をひとつひとつ数値で表すベクタ画像は,拡大や縮小が必要な名刺や巨大広告の画像の作成に適しているため,このような画像の作成に用いられるようになった。ベクタ画像の作成にはアドビシステムズ作図・描画ソフトウェア Adobe Illustratorなどが使用される。ワールド・ワイド・ウェブの標準化を進める WWWコンソーシアム W3Cは,ベクタ画像の普及をうけて画像記述言語 SVG(スケーラブル・ベクタ・グラフィックス)を定めた。無料公開言語である SVGはベクタ形式の形と文字を含み,ラスタ画像の埋め込みにも対応する。ベクタ画像の一般的な応用例としては,SVGを用いた地理情報システム GISがある。拡大縮小が可能な対話型の GIS地図に SVGが使用されている。(→コンピュータ・グラフィックス

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