改訂新版 世界大百科事典 「ベスビアナイト」の意味・わかりやすい解説
ベスビアナイト
vesuvianite
ベスブ石ともいう。造岩鉱物の一つ。化学組成はCa10(Mg,Fe)2Al4Si9O34(OH,F)4で正方晶系に属する。黄色,緑色または褐色のc軸に伸びた美しい自形の柱状結晶で出現することが多い。モース硬度7,比重3.3~3.5,{110}に不完全なへき開がある。接触変成作用を受けた石灰岩に出現するが,まれに塩基性-超塩基性岩に伴うロディンジャイトやアルカリ深成岩に含まれる。日本では埼玉県秩父鉱山から美晶が産する。ベスビオ火山の放出岩塊から最初に発見され,火山名にちなんで命名された。宝石名はアイドクレーズidoclase,濃緑色の美しいものはカリフォルナイトcaliforniteと呼ばれ,ヒスイによく似ている。
執筆者:青木 謙一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報