接触変成作用(読み)セッショクヘンセイサヨウ(その他表記)contact metamorphism

デジタル大辞泉 「接触変成作用」の意味・読み・例文・類語

せっしょく‐へんせいさよう【接触変成作用】

岩石中にマグマ貫入すると、接触部の温度が上昇し、鉱物組成や岩石の組織が変わること。熱変成作用

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精選版 日本国語大辞典 「接触変成作用」の意味・読み・例文・類語

せっしょく‐へんせいさよう【接触変成作用】

  1. 〘 名詞 〙 高温のマグマの貫入によって、その周辺に生じる変成作用。熱によって岩石をつくっている鉱物間に反応が起こり、その組み合わせが変化する。

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改訂新版 世界大百科事典 「接触変成作用」の意味・わかりやすい解説

接触変成作用 (せっしょくへんせいさよう)
contact metamorphism

高温のマグマが貫入した時に周囲堆積岩などの岩石が高温になり鉱物組成や岩石の組織に変化が生じる。このプロセスを総称して接触変成作用という。花コウ岩や玄武岩岩脈など貫入火成岩体の周囲の岩石にはふつうに起こる。接触変成作用をうけた岩石は花コウ岩体の周囲約100m内外にわたって広がっているのがふつうである。この広がりは中心の花コウ岩体が大きいほど大きくなる。一般に地下浅所で起こり,変成岩の組織には広域変成岩とは違って片理組織は見られない。変成作用の温度は貫入火成岩体に向かって上昇し,それとともに変成岩の鉱物組成も規則的に変化する。接触変成作用の物理化学的条件で作られる変成岩はふつう緑色片岩相と角セン岩相に属するが,高温のまま貫入した玄武岩岩脈の接触部付近では,輝石ホルンフェルス相サニディナイト相に属する場合もある。接触変成作用は貫入火成岩体からの熱エネルギーの供給のみではなく,H2OやCO2などの揮発性成分流入にも依存している。それらの成分は熱を周囲の岩石に運ぶとともに鉱物間の化学反応を促進したり,交代作用を起こしたりする。なお,この変成作用をうけた変成岩はホルンフェルスと呼ばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「接触変成作用」の意味・わかりやすい解説

接触変成作用
せっしょくへんせいさよう
contact metamorphism

おもに貫入岩からの熱によって,これと接する岩石を,初めと違う性質に変える作用。熱変成作用ともいう。接触変成作用は熱の作用だけでなく,貫入岩から揮発性成分が加わることが多い。接触変成作用を受けた地域を接触変成帯という。接触変成作用は貫入岩の種類や岩体の大きさで,高温のものと比較的低温のものがあり,接触変成帯の幅も違い,貫入岩に近いほど変成作用が大きく,外側へ漸減する。大きな貫入岩体では広域変成帯が数十 kmに及び,深成岩では酸性岩の花崗岩が,塩基性岩の斑糲岩よりも広い変成帯を伴うことが多い。

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岩石学辞典 「接触変成作用」の解説

接触変成作用

マグマの貫入や噴出に関連して,火成岩体と接触するか近接することによって岩石が変化する変成作用である.必要な熱の供給源は近くにある花崗岩などの貫入岩体を推定することが多く,貫入マグマからの熱の供給を重視する場合が多い.熱は伝導によるだけでなく岩体から周囲へ放出される水などの揮発性成分によって運ばれる[Delesse : 1857].特殊変成作用(special metamorphism)[Delesse : 1857],並置変成作用(juxtaposition metamorphism)[Daubree : 1862].

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百科事典マイペディア 「接触変成作用」の意味・わかりやすい解説

接触変成作用【せっしょくへんせいさよう】

火成岩体(多くは花コウ岩バソリス)の貫入を受け,被貫入岩がその熱のために再結晶する作用。物理条件からみると熱が主要因なので,熱変成作用ともいう。
→関連項目接触変成帯変成作用

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「接触変成作用」の意味・わかりやすい解説

接触変成作用
せっしょくへんせいさよう

変成作用

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