板または小角材などを繊維方向に平行にして積層接着したもの。ひき板、厚板の積層材を集成材、単板を積層したものを単板積層材(LVL=laminated veneer lumber)とよぶ。単板などにフェノール樹脂を含浸させ、1平方センチメートル当り100キログラム以上の高圧力で接着圧縮した改良木材を硬化積層材または強化木(きょうかぼく)とよび、高い強度と高い電気絶縁性、耐久性を要求されるところにかつて使用されたことがある。合成樹脂を含浸させて耐水性、寸度安定性、耐摩耗性を高めた積層材も、床や取っ手のような特殊な箇所あるいは食器などにも用いられる。WPC(wood plastic combination)もこの積層材に含まれることが多い。単板積層材は一般にロータリー単板を平行に重ね合わせ接着したもので、平行合板ともよばれて平板をつくるが、角材的な用途たとえば枠材、桟木(さんぎ)などにも用いられている。積層ということばには重ね合わせ、接着する意味があるので、広義には合板、ランバーコア合板のほかに、フローリングのように板やブロックを重ね合わせたものなども含まれることがある。積層の効果は、集成材や単板積層材では均一性を増し、強度特性を高め、木材では得がたい寸法形状を得られる。また、合成樹脂の含浸による積層は、木材と合成樹脂の特性を生かしており、木材で強度を、合成樹脂で耐水性、寸度安定性を付与している。
[有馬孝]
繊維方向を平行にして単板またはひき板を積層接着したもの。通常,ひき板積層材は集成材と呼ばれ,独立して取り扱われる。単板積層材は,英語のlaminated veneer lumberを略してLVLと呼ばれることが多い。LVLの製造工程は合板に,その性能は集成材に類似しているが,その特徴は,(1)製品歩留りが集成材に比べて高い,(2)短い丸太から連続的に長尺材が得られる,(3)欠点の分散によって材質のばらつきが小さくなることは集成材と同じであるが,一般に集成材より積層数が多いので,ばらつきはさらに小さくなる,(4)防腐,防虫などの薬品処理が容易に行われるなどがあげられる。反面,(5)製品価格の接着剤依存度が高い,(6)単板の裏割れ,縦接合部の存在により材質,美観の低下が問題となる。現在LVLの生産量および利用は少ないが,今後の伸展が期待されている。とくに構造用材料としての利用が考えられているが,現在では一般用LVLのJASしか制定されていない。
高温硬化型フェノール樹脂を単板内に浸透させ,100kgf/cm2以上の高圧で加熱圧締して積層接着したものを硬化積層材または強化木という。強度的性質が木材の1.5~3倍に向上し,寸度安定性も高まる。かつては木製航空機の桁材,プロペラに用いられたが,現在では各種機械部材,無音歯車,各種当て板などの特殊用途に少量使用されているにすぎない。
執筆者:大熊 幹章
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