化学辞典 第2版 「ベリリウム化合物」の解説
ベリリウム化合物
ベリリウムカゴウブツ
beryllium compound
天然には,緑柱石(ベリル)3BeO・Al2O3・6SiO2として産出する.イオン性化合物中ではベリリウムは酸化数2をとる.共有結合性の化合物中での原子価は+2価である.おもな化合物としては,酸化物,水酸化物,ハロゲン化物,硫酸塩,硝酸塩,炭酸塩,リン酸塩,過塩素酸塩,過ヨウ素酸塩,炭化物,窒化物,シアン化物などの無機化合物のほか,ジアルキルベリリウム,ジアリールベリリウムなどの有機ベリリウム化合物がある.無機化合物は無色で,塩化物,硫酸塩,硝酸塩は水に易溶,炭酸塩,リン酸塩は水に難溶.一般に同族のマグネシウムなどよりも,アルミニウム,亜鉛に似た化学的性質を示し,酸化物と水酸化物は両性である.酸と反応してベリリウム塩を,アルカリと反応してベリリウム酸塩をつくる.ベリリウム塩の水溶液は加水分解しやすく酸性を示し,ベリリウム酸塩の水溶液は加水分解して塩基性を示す.水溶液からは塩基性塩を生じることが多い.有機ベリリウム化合物には揮発性のものが多い.ベリリウムの可溶性塩は有毒である.粉じんを吸い込むと猛毒.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報