ベルセオ(英語表記)Gonzalo de Berceo

改訂新版 世界大百科事典 「ベルセオ」の意味・わかりやすい解説

ベルセオ
Gonzalo de Berceo

スペインで名前が知られる最初の詩人。12世紀末~13世紀中ごろに活躍した。生没年不詳。ベネディクト会系の在俗修道士と思われる。作品は詩型に14音節単韻4行詩を用いる聖職階級文学に属し,武勲詩と同じく,歌われたものである。聖人伝(《シーロスの聖ドミンゴ伝》ほか2編),聖母伝説(《聖母の奇跡》ほか2編),その他2編が知られる。いずれもラテン語の宗教文献を民衆に普及させ教化する目的で書かれ,原典に忠実に従う一方,民衆的な言い回しや日常生活への言及を豊富にして,作品に生き生きとした描写力を与えているところに作者の個性がみられ,素朴な魅力がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベルセオ」の意味・わかりやすい解説

ベルセオ
Berceo, Gonzalo de

[生]1195頃
[没]1268頃
スペインの詩人,聖職者。 14音綴4行詩 (クアデルナ・ビア) の創始者で,『聖母の奇跡』 Milagros de Nuestra Señora,『聖オリアの生涯』 Vida de Santa Oriaなど,多くの宗教詩を残した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のベルセオの言及

【スペイン文学】より

…〈国土回復戦争〉に活躍した実在の英雄シッド・カンペアドール(エル・シッド)を主人公とする作者不詳のこの武勲詩は,史実に基づくリアリズムがその最大の特徴であり,例えば,フランスの《ローランの歌》と比べてみると,主人公シッドはローランほど理想化されてはおらず,人間性に富んだより現実的な人物として描かれている。13世紀になると〈メステル・デ・クレレシーアmester de clerecía〉と呼ばれる聖職者階級の文芸が盛んになるが,代表的作品は,現在にその名を知られる最初のスペイン詩人G.deベルセオの手になる,聖母マリア伝説を素材とした25編の物語詩集《聖母の奇跡》である。スペイン文学における個性的な批判精神の発露は,14世紀のフアン・ルイスの《よき愛の書》をもってその嚆矢(こうし)とする。…

※「ベルセオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android