ファラデー効果により直線偏光した光の偏光面が回転する大きさを表す比例定数。フランスの物理学者ベルデMarcel Émile Verdet(1824―1866)が導入した。均一な磁界中に透明な物体を置き、磁界と平行に単色の直線偏光した光を透過させると、円偏光複屈折現象により右回り円偏光と左回り円偏光に対する屈折率に差が生じ、偏光面の回転、すなわち旋光現象が観測される。これがファラデー効果である。旋光角をα、磁界の強さをH/アンペア毎メートル、試料の長さをl/メートルとすると、ファラデー効果の式はα=VlHで与えられる。この比例係数Vがベルデ定数である。ファラデー効果の旋光方向、すなわち偏光面の回転方向は、光の伝播(でんぱ)方向には関係なく磁界の方向だけで定まる。磁界が環状電流でつくられているとしたときの電流の方向と旋光方向が同じときにα>0、したがってVを正と定める。多くの場合Vは正である。Vの値は一般に非常に小さく、温度や波長に依存する。
[石黒浩三・久我隆弘 2015年6月17日]
…偏光面の回転角θは,物質の厚さdと磁場の磁束密度の大きさBとに比例し,θ=RdBで表される。ここで比例定数Rはベルデ定数Verdet’s constantと呼ばれ,物質によって異なり,温度や光の波長に依存する。偏光面は光の進行方向が磁場と同じ向きか逆向きかによらず,通常の物質では可視領域で,軸上の磁場を発生するためにコイルに流れる電流と同じ向きに回転する。…
※「ベルデ定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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