日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベロット」の意味・わかりやすい解説
ベロット
べろっと
Bernardo Bellotto
(1722―1780)
イタリアの画家。ベネチア生まれ。カナレット(アントニオ・カナル)の甥(おい)で、またその弟子。伯父と同様に自らカナレットと名のったため、両者の作品の間に混乱が生ずることになった。師と同様、実景を記録的に描いた都市風景画(ベドゥータ)で知られるが、冷ややかな色彩を用い、師以上に精密に対象を描写している。若いころはカプリッチcapricciと称する幻想的風景画も描いた。1747年ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世に招かれてドレスデンに赴き、1766年まで主として同地にあって、ドレスデン、ピルナ、ケーニヒシュタインなどの風景を描く。この間、1758~1759年ウィーンに滞在し、1761年にはミュンヘンを訪れている。さらに1767年ロシアに向けてたった画家は、途次、ポーランド王スタニスラス2世の招きに応じてワルシャワに立ち寄り、そのまま宮廷画家としてとどまり、1780年11月17日同地で没した。作品に『ドレスデン風景』(1747・ドレスデン国立絵画館)があり、類似のエッチング作品もある。
[西山重徳 2019年6月18日]