ペグインターフェロン(読み)ぺぐいんたーふぇろん(英語表記)PEG-interferon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペグインターフェロン」の意味・わかりやすい解説

ペグインターフェロン
ぺぐいんたーふぇろん
PEG-interferon

インターフェロンのタンパク分子に、ポリエチレングリコールPEG(ペグ): polyethylene glycol)を結合させたもの。ペグは酸化エチレンと水との反応により生成される重合混合物である。体内でのインターフェロンの吸収を緩やかにするとともに、体外排出を遅らせることができるため、治療的効果を損なうことなく効能を長時間持続させる。薬の血中濃度が半減するまでに要する時間(血中半減期)は、従来のインターフェロンに比べておよそ10倍長く、薬の投与回数も通常の三分の一となるため、患者の負担を軽減できる。B型・C型慢性肝炎のほかに、制癌(がん)剤として腎臓癌多発性骨髄腫(こつずいしゅ)、慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫メラノーマ)などに用いられる。発熱のほか全身倦怠(けんたい)感、食欲不振、貧血などの副作用を伴うこともあるが、徐々に徐放性に薬効が発揮されるため、その程度は従来のインターフェロンに比べて軽微とされている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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