内科学 第10版 「ペットアレルギー」の解説
ペットアレルギー(アレルギー性疾患)
アレルギーを誘発する原因物質,つまりアレルゲンがハムスター,ラット,ウサギ,ネコ,イヌ,フェレット,鳥などペットの場合,ペットアレルギーという.
原因・病因
アレルゲンにはペットの体毛(羽毛),皮屑,唾液,排泄物がある.これらのアレルゲンが人と接触もしくは吸入されてアレルギー症状を引き起こす.
臨床症状
ペットとの接触により気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,アトピー性皮膚炎,じんま疹を起こす.一部のペット(ハムスター)ではアナフィラキシーショックが報告されている.
診断・検査成績
ペットとの接触でアレルギー症状が出現するか詳細に問診を行う.ペットアレルゲンへの感作の有無を知る方法として特異的IgE抗体の測定(RAST法やFEIA法)や皮膚試験がある.ペットが気管支喘息の原因であると診断するにはペットアレルゲンを用いた吸入誘発試験を実施する必要があるが,吸入誘発試験はときに重篤なアレルギー反応や喘息発作を引き起こすことがあるので注意が必要である.
治療・予防
治療は,一般に現れている症状に対する薬物療法を行う.予防としてペット,特に室内ペットの飼育は極力避けることが重要である.
経過・予後
近年のペットブームにより,ペットアレルギーを有する患者は今後も増加すると予想される.特に,ペットを飼い始めてから喘息を発症する患者や,ペットにより喘息が重症化する患者を目にすることはまれではない.[足立 満]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報