日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペロティヌス」の意味・わかりやすい解説
ペロティヌス
ぺろてぃぬす
Perotinus
生没年未詳。12世紀末あるいは13世紀初頭ごろにパリで活躍していたと考えられる作曲家。フランス風にペロタンPérotin Magnusともよばれる。生涯については何もわかっていないが、パリのノートル・ダム大聖堂を中心に活躍したいわゆるノートル・ダム楽派の代表的作曲家であり、先輩のレオニヌスがつくった二声オルガヌムのディスカントゥス様式部分を改作し、より厳格なモード・リズムの枠のなかに統一して、多数のクラウズラとよばれる楽曲を生み出した。そのため、同時代の人から「最上のディスカントゥス作曲家」とよばれた。また、三声や四声のオルガヌム、あるいは単旋律や多声のコンドゥクトゥスも作曲しており、中世盛期の作曲家のなかでもとくに重要な存在である。
[今谷和徳]