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定旋律 ていせんりつcantus firmus

翻訳|cantus firmus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

定旋律
ていせんりつ
cantus firmus

音楽用語。多声部様式の作品で,楽曲構成の基礎として用いられる既存の旋律。中世からルネサンスにかけては『グレゴリオ聖歌』をテノールの声部に保持したオルガヌムモテトミサ曲などが数多く作られた。ルター派のドイツ・プロテスタントの教会音楽では,コラールが同様の地位を占める。他方,広く知られた俗謡の旋律や,ソジェット・カバートと呼ばれる技法で人名などを階名唱法音名に読み替えたものを定旋律に用いた作曲例もみられる。

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デジタル大辞泉の解説

てい‐せんりつ【定旋律】

多声楽曲で、ある声部に置かれる一定の旋律。対位法作曲の基礎旋律として、既成単旋聖歌の旋律などが用いられる。

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百科事典マイペディアの解説

定旋律【ていせんりつ】

カントゥス・フィルムスcantus firmus(ラテン語)ともいう。ポリフォニーの音楽において,作曲の出発点あるいは基礎として使われた既存の旋律。グレゴリオ聖歌コラールの旋律が借用されることが多いが,民謡などの場合もあり,対位法によってこれに対旋律がつけられ新しい楽曲が生まれる。
→関連項目フォーブルドン

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世界大百科事典 第2版の解説

ていせんりつ【定旋律】

〈固定した旋律〉を意味するラテン語〈カントゥス・フィルムスcantus firmus〉およびイタリア語〈カント・フェルモcanto fermo〉の訳語で,しばしばc.f.と略記される。西洋の多声音楽では特に12~16世紀にかけて,既存の旋律をある特定の声部(多くはテノール)に置き,それを土台として他の諸声部を新たに作曲することが多い。このような多声楽曲の基礎となる旋律を定旋律という。定旋律として用いられる旋律は単旋聖歌(グレゴリオ聖歌)が最も多く,12~13世紀のオルガヌム,13~14世紀のモテットのほとんどが聖歌定旋律に基づいているし,15~16世紀のミサ曲にもこの種の定旋律をもつものが少なくない。

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大辞林 第三版の解説

ていせんりつ【定旋律】

中世・ルネサンスの多声楽曲で、対位法的作曲の基礎として使われる既成の旋律。カントゥス-フィルムス。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

定旋律
ていせんりつ
cantus firmusラテン語
canto fermoイタリア語
chant fermフランス語

多声性をテクスチュア原理とする音楽様式において、合奏(唱)の音楽時間進行の核として機能するように一つの声部に配置された一定の基本旋律。ヨーロッパの作曲史上、とくに対位法において、中世から現代まで重視されてきた。利用される旋律としては、既存の単旋聖歌、プロテスタントのコラール、世俗旋律の場合が多いが、現代に近いほど新作が多くなる。ゆったりと安定し単純なリズムに基づく定旋律に対して対比的な他の声部は、より細かく複雑な旋律輪郭とリズム型を表出するよう作曲される。すなわち、定旋律の音進行を縮小・分割・拡大・変形する技法を、先取り・模倣といった方法で、いわば同時的に変奏したり、まったく異なる音型素材を駆使したりする。こうした定旋律の概念と実践はヨーロッパ以外にも例が多く、ジャワやバリ島のガムランにおけるバルンガンやグンディンが代表的である。[山口 修]

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世界大百科事典内の定旋律の言及

【対位法】より

… 二つ以上の自立的な旋律(声部)を結合する技法として,対位法は各声部の音楽的な動き,声部間のリズム的分化,垂直的な音程や和音の響き,という三つの問題を考慮し,諸声部の結合が一つの音楽的なまとまりを生むようにはからねばならない。〈音符・対・音符〉という語源が物語るように,対位法は最初,既存の旋律(定旋律)に対して新たな旋律を創出し,定旋律の各音に新旋律(対位声部)の音を1対1の関係で結合することから始まった。この場合に許容された音程は,同度,完全8度,5度,4度の協和音程のみである。…

※「定旋律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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