ホトカプラー(読み)ほとかぷらー(その他表記)photocoupler

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホトカプラー」の意味・わかりやすい解説

ホトカプラー
ほとかぷらー
photocoupler

電気信号を光で結合させる装置。発光部と受光部が互いに電気的に絶縁できる長所を利用したもので、1955年、ローブナーE. E. LoebnerのアメリカのRCA社での考案に基づく。発光部には発光ダイオードタングステンランプネオンランプ、受光部にはシリコン・アバランシェ・ホトダイオード、pinダイオード、硫化カドミウムカドミウムセレンなどが用いられる。現在、一般にもっとも広く用いられるのはヒ化ガリウム赤外発光ダイオードとシリコン・ホトダイオードを組み合わせたものである。発光部と受光部は透明樹脂を介して光学的に結合するが、外光を遮断し、機械的な強度を増すためにその周りを黒色樹脂で厚く覆っている。このため、入力と出力間の耐圧は数キロボルトと大きい。また、発光部にヒ化ガリウム・アルミ、受光部にpinダイオードの高速素子を用いると100メガヘルツまで使用でき、周波数応答が直流から高周波まで平坦(へいたん)なものが得られる。

 ホトカプラーは光を利用することから雑音に強く、システムを構成する装置間の電源を絶縁でき、各装置ごとに接地することができる。また、装置間の結合容量が小さいために出力側の信号が入力側に戻ることはないなどの長所がある。このため電気回路端末機器などをホトカプラーを介して結合すると、電源電圧の違いや、機械部の発生する雑音を配慮する必要がなく、回路設計が容易となる。コンピュータの周辺機器、自動販売機、固体リレー、電源制御用などに用いられている。最近のホトカプラーでは受光部と集積回路を組み合わせたものとか、直接電力系統を制御するためにホトサイリスタと組み合わせたもの、カプラーの中にハーフミラーを入れて外部に信号を取り出したり加えたりできるもの、グレーティング形フィルタなどで方向を急変させるものがある。

[岩田倫典]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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