ホルモンとホメオスタシス

六訂版 家庭医学大全科 の解説

ホルモンとホメオスタシス
(内分泌系とビタミンの病気)

 生体には、外部の環境が大きく変化しても内部の環境の恒常性(こうじょうせい)体温・血流量・血液成分などを正常な範囲に保っている状態および機能)を保つ機能があります。それを今から70年以上前に、米国の生理学者のキャノンホメオスタシスと名付けました。

 たとえば、外気の温度は30℃でも0℃でも体温は36℃くらいに保たれています。また、断食をしていても、大食い競争に参加していても糖尿病でないかぎり、血糖値は100㎎/mlを大きく外れることはありません。

 それは血糖値が上がれば膵臓からインスリンが分泌されて血糖が下がり、血糖値が下がりすぎればグルカゴンカテコールアミンなど血糖を上げるホルモンが分泌されるというように、生体内には左右に振れる振り子をもどす力があるからです。この生体内にある振り子を一定の位置にとどめておくはたらきがホメオスタシスです。

 ホメオスタシスは自律神経系と内分泌系とによって調節されていて、自分の意思とは関係なく、自律的に、かつ総合的に機能しています。したがって、私たちは意図的にホメオスタシスをはたらかすことはできません。

 しかし、ホメオスタシスも万能ではありません。たとえば、塩辛い物を食べ続ければ腎臓のホメオスタシスの維持機能も損われ、その現れとして高血圧になってしまいます。自分自身の体のはたらき方を知ること、したがってホルモンによってホメオスタシスがどのように守られているかを知ることが、われわれの健康を守る第一歩であるといえるでしょう。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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