万能(読み)バンノウ

デジタル大辞泉 「万能」の意味・読み・例文・類語

ばん‐のう【万能】

すべてに効力があること。「金は万能ではない」「万能薬」
あらゆることにすぐれていること。なんでもできること。「万能選手」
[類語]オールマイティーオールラウンド全能全知全能

まん‐のう【万能】

[名・形動]
多く技能。さまざまな能力。「万能足って一心足らず」
いろいろのことに巧みなこと。また、そのさま。ばんのう
「こなたは―な御方でござるに依って」〈虎寛狂・八幡の前〉
農具草削り、または馬鍬まぐわのこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「万能」の意味・読み・例文・類語

まん‐のう【万能】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 何事にもすぐれていること。何事にも役立つこと。すべてに効力のあること。また、そのさまやその能力。現在は多く「ばんのう」と読まれる。→ばんのう
    1. [初出の実例]「是則、万能を一心にてつなぐ感力也」(出典:花鏡(1424)万能綰一心事)
    2. 「万能(マンノウ)に達したとはいふ物の近くいはば茶臼芸で」(出典滑稽本浮世床(1813‐23)初)
  3. 農具の一種。刃先が三本ないし五本に分かれている鍬(くわ)。用途の広いところからか。備中鍬。〔農具便利論(1822)〕

ばん‐のう【万能】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. あらゆる能力・技能。また、それらにすぐれていることやそのさま。古くは「まんのう」と読まれた。→まんのう
    1. [初出の実例]「カーライルの一能に達するものは万能に通ずと云ふが如きは例外の注文と知るべし」(出典:偽悪醜日本人(1891)〈三宅雪嶺〉濁〈林辨次郎〉)
  3. すべてに効力があること。何事にも有効なこと。また、その効力やさま。「万能薬」
    1. [初出の実例]「財力の万能(バンノウ)なる」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「万能」の意味・わかりやすい解説

万能 (まんのう)

除草専用のくわ(鍬)で,〈草削り〉とも呼ばれる。耕起用のくわとちがい,刃床部は薄く全体に軽量で,作物の根もとの除草など細かい作業をしやすいようつくられている。刃床部の形は,用途に応じていくつかの種類があるが,最も一般的で汎用(はんよう)的なものは,刃先が直線で幅広く,ちょうど油揚げの頂部に柄をつけたようであるので〈油揚万能〉と呼ばれることがある。また,土寄せにも同時に用いるものとして油揚万能の肩をはらせて角状にしたものがある。うね底の弧状になったところの除草には,底にそうよう刃先を円弧状にしたものがあり,ちょうどイチョウの葉に似ているため〈いちょう万能〉などと呼ばれる。〈向突(むこうづき)〉と呼ばれるものは,刃床部を地面にそわせ,突いて草を削っていくもので,平らなところで用いられた。なお,このような除草専用具が現れてきたのは元禄時代(1688-1704)以後のことで,それまでは,使い古して刃の薄くなった耕起用のくわがもっぱら用いられていた。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「万能」の意味・わかりやすい解説

万能【まんのう】

草削り(くさけずり)とも。除草用の農具であるが,うね間の中耕や土寄せにも用いる。長い柄に幅広の刃部を鋭角的に取りつけて草の根をかき切る。備中鍬(びっちゅうぐわ)を万能と呼ぶこともある。
→関連項目中耕

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万能」の意味・わかりやすい解説

万能
まんのう

草削り鍬ともいう。日本在来の除草用農具の一種。畑のあぜ間の除草や土寄,庭や道路の除草にも使う。土の表面を削りながら草を根もとからかき切るために,刃先は鋭く薄い。平らに直線的なもの (油揚万能,角万能,あぶみ万能など) と,半円形のもの (いちょう万能) がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の万能の言及

【くわ(鍬)】より

…九州地方で使われていた打引きぐわは,刃床部のそりがきつく柄が極端に短い。 除草専用のくわは,柄の先にへらを付けたような形の軽いもので,万能(まんのう)あるいは草削(くさけずり)と呼ばれる。刃の形状には,角形や三角形あるいは,うね間の谷底の形に合わせいちょう型にしたものや,軽量化のため中央部をあけたものもある。…

※「万能」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android