ホンコン返還(読み)ホンコンへんかん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホンコン返還」の意味・わかりやすい解説

ホンコン返還
ホンコンへんかん

アヘン戦争(1840~42)を機にイギリスの植民地となっていたホンコンが 1997年7月1日,155年ぶりに中国に返還された。中国の主権のもとで,今後 50年間は「一国二制度」による特別行政区として資本主義制度が認められることになった。外交国防を除き,内政はホンコン住民にゆだねられ,行政管理権,立法権,司法権が与えられる。返還をめぐっては 1982年から中英両国で協議が続けられ,1984年には共同声明が調印された。しかし,1989年に中国で民主化を求める運動が弾圧された天安門事件が起こると,返還後に不安をもつ住民多数がホンコンから脱出をはかった。こうした混乱のなか中国は 1990年ホンコン基本法を成立させ,一方イギリスはホンコンの選挙制度改革に乗り出し,1995年の立法評議会選挙で民主派が親中派を破る結果を導いた。両国間の軋轢を残したまま,ホンコンは返還当日を迎えた。

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