ホーナン省(読み)ホーナン(英語表記)Henan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーナン省」の意味・わかりやすい解説

ホーナン(河南)〔省〕
ホーナン
Henan

略称はユイ (予) 。中国,華北地方南西部の1級行政区。 12特別市と5地区に分れ,13市 102県から成る。行政中心地はチョンチョウ (鄭州) 特別市。略称は,『禹貢』に予州と記されたことに始る。明で省がおかれ,大部分がホワン (黄) 河の南にあることから河南となった。中部から東部はホワペイ (華北) 平原の南西部にあたり,西部はチンリン (秦嶺) 山地の東部をなすフーニウシャン (伏牛山) 山脈,ワイフォンシャン (外方山) 山脈などの山地である。北部ではホワン河がホワントー (黄土) 高原を出て,巨大な扇状地を形成して東流している。漢民族が最初に活動を始めた中原の地で,仰韶遺跡,殷墟などがあり,またルオヤン (洛陽) ,カイフォン (開封) ,シュイチャン (許昌) ,シャンチウ (商丘) など著名な古都がある。ホワン河が分水界となっているために,右岸の河川は南東流してホワイ (淮) 河に注いでおり,流域面積は省の2分の1に及ぶ。気候はやや大陸的で,月平均気温は1月で-2~2℃,7月で 27~28℃。年降水量は 600~900mmで夏季に多く,春は乾燥して飛砂が多い。食糧作物はコムギを中心に,トウモロコシコーリャン,芋類,豆類,水稲で,工芸作物としてはワタ,ゴマ,タバコ,ナンキンマメが多い。ホワイ河流域の東部は,かつてホワン河が河道変遷と氾濫を繰返していた地で,砂丘状の荒れ地やアルカリ土壌が広く分布する。人民共和国成立後,ホワイ河治水計画によって河道を改修し,堤防を建設し,ダムと遊水池を配置し,灌漑水路を引くなどの工事が行われた。ホワン河でも堤防の補強,灌漑水路の建設が行われた。西部の山地は木材,漢方薬材,さく蚕糸を産する。地下資源は石炭が豊富で,チヤオツオ (焦作) 市,ホーピー (鶴壁) 市,ピンティンシャン (平頂山) 市の炭鉱都市がある。鉄,硫黄石綿,石墨なども採掘されている。主要都市には機械,紡織などの近代的な工場が立地し,チョンチョウ市の綿紡織,ルオヤン市のトラクタが大規模である。チンコワン (京広) 鉄道が通り,チョンチョウ市でロンハイ (隴海) 鉄道,チヤオツオ市でチヤオチー (焦枝) 鉄道,タイチヤオ (太焦) 鉄道が接続する。面積 16万 7000km2。人口 8553万 5124 (1990) 。

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