日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボスカン・アルモガベル」の意味・わかりやすい解説
ボスカン・アルモガベル
ぼすかんあるもがべる
Juan Boscán Almogáver
(1487?―1542)
スペインの宮廷詩人。バルセロナに生まれ、同市に没。名前はカタルーニャ語の綴(つづ)りではJoan Boscá Almugáverになる。国王カルロス1世(神聖ローマ帝国カール5世)の宮廷で文筆活動に従事、家庭の平和や肉親の情愛を歌った詩が多い。また宮廷内で詩人ガルシラソ・デ・ラ・ベガと親交をもち、互いに文学的な啓発をしあった。1526年、グラナダ滞在中にベネチア大使A・ナバジェロの勧めによりイタリア風の韻律詩(おもにソネット)を書き始め、ガルシラソとともにそれをスペインに普及させた。また、ガルシラソの指示によりイタリアのカスティリオーネの『宮廷人の書』をみごとなスペイン語に翻訳したことでも有名。
[清水憲男]