ボリソフ・ムサートフ(読み)ぼりそふむさーとふ(その他表記)Виктор Эльпидифорович Борисов‐Мусатов/Viktor El'pidiforovich Borisov-Musatov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボリソフ・ムサートフ」の意味・わかりやすい解説

ボリソフ・ムサートフ
ぼりそふむさーとふ
Виктор Эльпидифорович Борисов‐Мусатов/Viktor El'pidiforovich Borisov-Musatov
(1870―1905)

ロシアの画家サラトフに生まれる。モスクワの絵画・彫刻・建築専門学校に学び、パリへ留学、コルモンの教室に通った。フランスの画家ピュビス・ド・シャバンヌから強い影響を受け、「ロシアのシャバンヌ」とよばれた。その主題は過去への郷愁、厳しい現実からの逃避、孤独な宿命感にとらわれているが、画家自身は世界の静けさ調和を追究したと語っている。社会的関心の強い移動派の画家たちが主流であった当時のロシア画壇のなかでは異色の存在であり、貴族文化の斜陽の美しさを描いた画家でもあった。代表作『貯水池』(1901)、『エメラルドの首飾り』(1903)、『鎮魂歌』(1905、いずれもモスクワ、トレチャコフ美術館)など。

木村 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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