ボントクタデ(読み)ぼんとくたで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボントクタデ」の意味・わかりやすい解説

ボントクタデ
ぼんとくたで
[学] Persicaria pubescens (Bl.) H.Hara
Polygonum pubescens Bl.

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。茎は直立して高さ約70センチメートル、分枝が多く、上向きの毛があり、普通紅紫色。葉は有柄で互生し、広披針(こうひしん)形で先端はとがり、基部はくさび形、表面に八の字状の黒斑(こくはん)がある。葉鞘(ようしょう)は円筒形で、縁(へり)に毛がある。9~10月、茎頂に細長い穂状花序をつくってまばらに花を開き、穂先は垂れ下がる。花被(かひ)は上半部は帯紅色、下半部は帯緑色で腺点(せんてん)がある。痩果(そうか)は卵円形で3稜(りょう)があり、黒色で光沢はない。湿地に多く生え、本州から沖縄、東アジア、マレーシア、インドに分布する。ヤナギタデに似るが、葉に辛味がないのでボントク(ボンツク、まのぬけたの意)タデという。

[小林純子 2020年12月11日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のボントクタデの言及

【イヌタデ】より

…北欧では,鉄器時代の初めに一時期栽培化され,そのあとは19世紀末まで雑草として生じたものの種子を集め,かゆにして食べ,また酒も造られた。ボントクタデP.pubescens Bl.(イラスト)も水辺に生じる。漢方薬では,オオケタデP.orientale L.とオオイヌタデの堅果とともに水生紅子と称し,瘰癧(るいれき),消渇に薬効がある。…

【タデ(蓼)】より

…民間薬として全草を腫瘍の解毒,利尿,止痢などに用いた。 ヤナギタデに似たボントクタデP.pubescens Blumeも水辺に生じるが,茎に上向きの短毛があり,葉腋(ようえき)からも花穂を出す。また葉は辛くないのでポンツク(愚鈍)の名がある。…

※「ボントクタデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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