改訂新版 世界大百科事典 「ボンマルシェ会社」の意味・わかりやすい解説
ボン・マルシェ[会社]
Au Bon Marché
フランスの大手百貨店。本店パリ。1852年,ブーシコーAristide Boucicaut(1810-77)によってパリに設立され,世界の商業史における近代的百貨店の始祖といわれている。その新しさは,(1)だれでも店に出入りできるようにしたこと,(2)商品に定価をつけ,だれにでも同一価格で売ったこと,(3)商品を大量陳列し,お客が手に取って見られるようにしたこと,(4)商品の返品ができるようにしたこと,(5)商品の価格を低く抑え,商品の回転率を高くしたこと,などの点である。当時は商工業の発展期で,都市への人口集中が興っていた。しかし当時の商店には定価はなく,客による掛値,値切りが横行し,返品,交換は店のほうが応じなかった。このためボン・マルシェの人気は上昇し,創業8年にして売上げは創業時の50万フランから500万フランへと10倍になった。扱い商品も布地中心から婦人服,帽子,靴へと広がり,商業に革新をもたらした。このような結果をみて,58年アメリカにメーシー,63年イギリスにホワイトリー,70年ドイツにウェルトハイムなどの百貨店が続々誕生した。売上高276億フラン(連結決算,1993年12月期)。
執筆者:岡田 康司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報