帽子(読み)ぼうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

帽子
ぼうし

元来,広義には布製のかぶりもの,狭義には烏帽子 (えぼし) の語として使われたが,近代になって洋装が普及し,西洋のかぶりものが一般化すると,部分的にはわら帽子,綿帽子などの語を残しながら,主として西洋風のかぶりものをさすようになった。この意味での帽子は,ベール,フードなどとは区別され,名称にも分化が起った。大別するとシルクハットフェドーラなどのブリムのあるハット hatと,それがないベレー帽ハンチングなどのキャップ capがある。

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デジタル大辞泉の解説

ぼう‐し【帽子】

寒暑やほこり・直射日光などを防ぎ、また身なりを整えるために頭にかぶるもの。
綿帽子などの女性のかぶりもの。
野郎帽子」の略。
烏帽子(えぼし)」の略。
物の頭部にかぶせるもの。
鋩子(ぼうし)」に同じ。

もう‐す【帽子】

《「す」は唐音禅宗で、僧侶のかぶる頭巾(ずきん)。
「―、したうづやうのもの、心々に送りつどひて」〈笈の小文

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百科事典マイペディアの解説

帽子【ぼうし】

防寒,防暑,装飾などのためのかぶり物。古代エジプトやギリシア時代からある。日本ではハット(つばのある帽子),キャップ(つばのない帽子),ボンネット,フード(頭巾(ずきん))の総称。男性用にはシルクハット山高帽のほか,日常用としてソフト帽ハンチングパナマ帽などがある。女性用には釣鐘形のクローシェ,つばが上に折り返ったブルトン,頭頂部の平たいカンカン帽のようなキャノチエターバン円筒形のトークなどがあり,ベレーは男女とも用いる。このほか職業,団体などをあらわす制帽があり,軍人,警官,船員,学生などに用いられる。帽子の材料はフェルト,ウール,木綿,革,毛皮,パナマ,麦わら,毛糸などが使われる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼうし【帽子】

防寒・防暑または礼装,装飾を目的としたかぶり物。その発生の歴史は古く,種類も多様である。クラウン(山の部分)とブリム(つば)からなるハットhat,頭巾型のフードhood,つばのないキャップcap,ひさしがつきあごで結ぶボンネットbonnetなどが基本型といえよう(図)。
[古代]
 頭に何物かをかぶるという習慣は古くから発生していた。しかし,それは現代の帽子とは多分に異なった意味をもっていた。宝石,貴石,金などを素材としたエジプトのかぶり物は,王侯貴族の権威の象徴と呪術的な意義をもっていた。

ぼうし【帽子】

(1)仏事の装束名。牟子とも書く。白羽二重などの幅広く長い裂地(きれじ)の両端を縫い合わせて輪状にしたもので,これを畳んで形を整え,首をとおして襟に掛ける。防寒用の被服から出発して儀礼衣帯(えたい)となったものなので,一定の資格以下の者は使用できないとか,夏季には使用しないとか,宗派によるきまりがある。また管長その他の高位の僧が頭上からかぶる宗派もある。縹帽子(はなだぼうし)という別称があり,能装束花帽子(はなのぼうし)という名はこれから出たというが,実際に縹色(青色)の帽子を用いることがあるのは,真言系諸宗だけである。

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大辞林 第三版の解説

ぼうし【帽子】

頭にかぶる装身具。
寒暑やほこり・落下物などから頭部を防護し、また身なりを整えるもの。帽。
烏帽子えぼし・頭巾ずきんなど布製のかぶりものの総称。 「船に乗りたる翁の-を着たる、漕ぎ来たりて/今昔 10
野郎帽子」の略。 「つかに手をかくるは、-かけたる立役なるべし/あやめぐさ」
綿帽子」に同じ。
より転じて〕 物の頭部にかぶせるもの。
囲碁で、相手の石が中央に進出するのをはばむように、一ないし二路へだてた点にかぶせるように打つ手。
鋩子ぼうし」に同じ。

もうす【帽子】

〔「もう」は呉音。「す」は唐音〕
僧のかぶる帽子ぼうし・頭巾。宗派により各種ある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぼう‐し【帽子】

〘名〙
① 頭にかぶるもの。
(イ) 昔、布で作ったかぶりものの総称。頭巾。
※西宮記(969頃)一七「帽子、鷹飼所用。押帽子、犬飼所用」
※申楽談儀(1430)能の色どり「空也上人の能などに、錦紗をぼうしに着る、是も何とやらん悪し」
(ロ) 烏帽子(えぼし)をいう。
※禁秘鈔(1221)下「切紐引入帽子、如面縛
(ハ) 野郎歌舞伎の俳優が額に置き手拭(てぬぐい)をしたのが変じてかぶりもののようになったもの。また、それを模倣して紫ちりめんなどで作ったかぶりもの。江戸時代の女形が常用した。野郎帽子。
※評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二「かしらはぼうしおびは天鵝絨(びろど)
(ニ) 真綿を平たくひろげて作るかぶりもの。初めは防寒用であったが、後に婚礼の際の花嫁のかぶりものとなった。綿帽子。
※浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)九「鶯の梅見付たるほほ笑顔まぶかに、着たる帽子(ボウシ)の内」
(ホ) 近代以降、頭にかぶって寒暑ほこりなどを防ぎ、また身なりを整えるもの。洋服・和服ともに用い、用途によって多くの種類がある。
※西俗一覧(1869)〈黒沢孫四郎訳〉人を訪ふ事「朝人を訪ふ時は玄関に帽子を置くべからず」
② 手燭などにかぶせる紙張りのおおい。
※浮世草子・本朝諸士百家記(1709)七「ぼうしきせたる手燭をかかげ」
③ (鋩バウ子) 刀剣の切先(きっさき)のこと。また、切先の焼刃のことをもいう。鋩子先(ぼうしさき)。〔刀剣略説(1783)(古事類苑・兵事二八)〕
④ 大型和船の筒(つつ)(帆柱を立てる際の受柱)の上部木口を覆う材。帆柱を倒したとき、筒に挿入した指天(さしあま)の下部を受ける材を兼ねる。筒の上端にかぶせるのでこの名があり、通常関船・小早など軍船造りの筒につけるが、弁才船などの荷船造りには設けない。
※瀬戸流秘書(1663)船之法筒之目録「ぼうしの厚さ、つつに壱みなわおち申候」
⑤ 囲碁で、相手の石の中央への進出をはばんで、一路ないし二路隔たった点にかぶせるように打つ手。
[語誌](1)平安時代にすでに「えぼし(烏帽子)」といった複合語形が見られ、古くから日本語として使用されていた。禅宗においては、モウスと読み、僧侶の被りものの名称とされた。
(2)「帽子」の字音仮名遣いは、本居宣長の「字音仮名用格」によって「ばうし」とされ、昭和前期まではこの仮名遣いによっていたが、有坂秀世の「『帽子』等の仮名遣について」によって、「ぼうし」に訂正された。

ぼ‐し【帽子】

太平記(14C後)三八「帽子(ボシ)を脱せ」
文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初「帽子(ボシ)はかならず着べき道理」

もう‐す【帽子】

〘名〙 (「もう」は「帽」の呉音。「す」は「子」の唐宋音) 禅宗で、僧がかぶる頭巾(ずきん)の一つ。形は一定しない。
庭訓往来(1394‐1428頃)「半装束数珠・帽子・直綴」

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世界大百科事典内の帽子の言及

【衣帯】より


[被り物]
 衣帯としての被り物には,一定の形状に作った冠帽を頭に頂くものと,無地の裂の両端を縫い合わせて輪状にした布を着装するものとがある。前者には,誌公(しこう)帽子,燕尾(えんび)帽子,水冠(すいかん)などいくつかの種類があり,主として浄土宗や禅系諸宗で用いられる。後者は,単に帽子とも,花帽子(はなのぼうし),縹(はなだ)帽子とも称し,諸宗で用いるが,これを頭上からすっぽりかぶる着装法と,襟巻のように襟の部分に掛ける着装法とある。…

【被り物】より

…被り物は身分や役割のはっきりしている社会,また文化の爛熟期に発達している。
【日本】
 帽子頭巾手ぬぐいなどの種類があり,材料としては絹,麻,木綿,ラシャ,紗,紙,藺(い),菅(すげ)などが用いられている。時代,身分,地域により独自の形態や用途がみられる。…

※「帽子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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