ボーイング747(読み)ぼーいんぐななよんなな//ぼーいんぐせぶんふぉーせぶん(その他表記)Boeing747

共同通信ニュース用語解説 「ボーイング747」の解説

ボーイング747

ボーイングが開発した大型ジェット機で、エンジン4基を備え、機体前方が2階建てになっている。初飛行は1969年。総受注数は1500機を超え、国内では日航が世界最多の112機、全日空が47機を導入した。最新の8型は全長76・3メートルで、従来の400型を5・7メートル延長。主翼やエンジンに787の最新技術を導入、2010年に初飛行した。(シアトル共同)

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知恵蔵 「ボーイング747」の解説

ボーイング747

アメリカのボーイング社が開発した超大型旅客機。1969年に初飛行、翌70年就航以来、ジャンボジェット愛称で親しまれた。巨大な機体は航空輸送に革新をもたらし、500人を超える旅客輸送が可能に。2007年にエアバス社のA380が登場するまで、世界最大の旅客機として航空界に君臨した。
ボーイング747の原型は、現行のロッキードC-5Aギャラクシーと採用を競った軍用輸送機。これをベースにして、民間型の航空機として再設計された。開発当時の1960年代は、次世代の主流を担うのはコンコルドなど超音速旅客機と考えられた。このため、後の貨物機転用も見込んで当時の物流の主流だったコンテナを2列に積めるようなワイドボディ設計となった。就航当時はその広さに搭乗客が「機内探検」するのが流行したという。多数の旅客を乗せるため、慣性航法装置など安全確保に当時の最新技術を投入。巨大なエンジンを4基搭載することで、もし3基のエンジンが停止しても、残る1基で飛行できるようにした。長距離型の航続距離は当時の小型機を大きく上回る1万~1万5千キロで、東京・北米間などの直行便の運航を可能にした。客室の下には大きな貨物室を設け、貨物輸送力も圧倒的であり、超音速機開発の頓挫により、ボーイング747は航空輸送の主役の座を長らく占め続けた。これまでに1500機以上を生産、多種の派生型があり最新型は現在も製造されている。ボーイング747は旅客輸送力を飛躍的に増大させ、航空運賃の大幅な団体割引やバルク運賃誕生のきっかけとなった。日本では64年の渡航自由化を背景として、この低廉な運賃が旅行会社の廉価なパック旅行などを支え、海外旅行大衆化の原動力ともなった。航空会社1社の発注数では日本航空が113機で世界最多であり、85年8月12日「御巣鷹の尾根」に墜落、犠牲者520人を出した日航123便もその一つ。この余波で売却された同型機の中にはNASAのスペースシャトル輸送機に改造されたものもあった。
近年になると燃料価格高騰、空港発着枠の増加や競争激化による便当たり旅客数の減少、機体老朽化と整備コスト上昇などが進み、運行効率が低い大型機の維持は航空会社の負担となった。また、国際民間航空機関(ICAO)の定める「双発機による長距離進出運航(ETOPS)」の規制緩和で、航空界の主流はボーイング787など新世代の中型機に代わりつつあった。こうして、日本航空のボーイング747は2011年3月1日をもって引退。最後まで残っていた全日空のボーイング747も、14年3月31日にはラストフライトを迎えた。那覇空港と羽田空港の折り返しには名残を惜しむ人らが集まった。以降、日本国内に残るのは自衛隊の政府専用機と日本貨物航空の貨物専用機だけとなる。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーイング747」の意味・わかりやすい解説

ボーイング747
ボーイングななよんなな
Boeing747

アメリカ合衆国のボーイングが開発した4発の大型ワイドボディ旅客機。胴体直径をそれまでの2倍に近い大きさに広げてキャビンに2本の通路を設け,ワイトボディ時代の幕を開いた。その巨大さからジャンボ・ジェットとも呼ばれ,航空旅行の大衆化を促進した。開発計画の発端は 1960年代半ば,パンアメリカン航空の要請に基づき,アメリカ空軍の戦略輸送機計画でロッキードC-5に敗れた設計案を民間向けに転用したもの。定期路線に就航したのは 1970年,1989年には新しいアビオニクスを備え,翼端にウィングレット (小翼) を付けるなどの改良を加えた 747-400が登場した。 747-400は標準座席数 416,全長 70.7m,全幅 64.4m,最大離陸重量 397t,巡航速度マッハ 0.855,航続距離1万 3445km。受注数は 1400機をこえる。 2005年 11月には新しい 747-8の開発計画が打ち出された。これは 747-400にくらべて胴体が 4m近く長くなり,乗客数が標準 416人から 450人へ増える。エンジンも新しくなって燃料効率がよくなり,航続距離は1万 4800kmまで伸びる。

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世界大百科事典(旧版)内のボーイング747の言及

【航空機】より

…翼に生ずる揚力は速度の2乗に比例するので,速度が速くなれば,機体の比重が空気の比重よりはるかに大きくなっても飛ぶことができる。例えば現用のボーイング747は,重さが約350tであるが,これを全長71m,翼幅60mにまとめて,飛行速度は飛行船の約7倍の900km/h,乗客約400人を乗せて飛行することができ,その翼は1m2当り700kgfに近い揚力を出している。 原理的には困難な点が多かったため,登場は軽航空機よりはるかに遅れ,19世紀の終りにようやくグライダーによる滑空試験が始まった。…

※「ボーイング747」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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