日本大百科全書(ニッポニカ) 「パン・アメリカン航空」の意味・わかりやすい解説
パン・アメリカン航空
ぱんあめりかんこうくう
Pan American World Airways, Inc.
アメリカの航空会社。略称パンナム(PANAM)。1991年に倒産。
1927年ニューヨーク州法人パン・アメリカン・エアウェーズ・インコーポレーテッドとして設立され、1950年社名をパン・アメリカン・ワールド・エアウェーズに変更した。アメリカ民間航空のパイオニアとしての輝かしい歴史にもかかわらず、アメリカ国内外での競争の激化に伴い、1970~1979年の10年間に純益を計上しえたのはわずかに3か年にすぎず、1980年には同社の象徴ともいうべきニューヨーク市マンハッタンのパンナム・ビル、世界的な高級ホテルチェーンのインターコンチネンタル・ホテルを9億ドルで売却した。一方、ナショナル・エアラインズの吸収合併により、従来の国際路線に加えてアメリカ国内路線をももつに至った。1986年初めには太平洋路線をユナイテッド航空に売却し、日本からも撤退した。1991年8月には北大西洋路線など資産の大部分をデルタ航空に売却し、さらにデルタ航空による1億ドルの融資で再建を図った。しかし、予想以上の業績の悪化とデルタ航空の融資が停止したことによって1991年末、パン・アメリカン航空は全路線の運行を停止し、創業64年の歴史の幕を閉じた。
[佐藤定幸]